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エネルギーの転換

過去100年にわたって、世界中で発展してきた経済の礎は、石油によって築かれてきました。産業の発展や交通網の拡大は、石油が促してきたものです。

こうして私たちは、原油埋蔵量の約30%をすでに消費してしまったと言われています。ただし、70%をいままでどおりに消費できるわけではありません。残りは、通常の方法では回収・精製できないタールサンドとして埋蔵されていたり、油田が深海にあったりするため、高額な精製コストが必要です。

精製にかかるコストは埋蔵量が減るに従って高騰します。“ピーク・オイル”が近付いているのです。これから、さらに私たちが経済発展を続けていくために、新しいエネルギー源として選ばれるのはクリーンで再生可能な電力です。

再生可能エネルギーの台頭

再生可能エネルギーは現在、石油を置き換える存在として最も期待を集めています。私たちのエネルギー需要は、太陽や風、波、川などの自然資源を最大限に活用すれば、十分に満たすことができます。しかしながら、水力発電を除く再生可能エネルギーで発電されている世界の電力量は、現時点でわずか2%にすぎません。いまでもガソリン車が中心の交通システムにおいては、その割合はさらに低くなります。

国連の調査によると、2007年の再生可能エネルギーに対する投資は合計1,484億ドル。前年比で60%増加しました。発電システムの普及によって、ここ数年で設置価格が大幅に低下した太陽光発電と風力発電が投資額の増加に大きく寄与しました。とはいえ、さらなる技術革新とクリーン電力の普及は必要です。現時点では、規模の拡大とオフピーク発電の有効利用によってさらなるコストの削減を図ることが現実的なソリューションと言えるでしょう。

再生可能エネルギーと交通

再生可能エネルギーを中心とする経済モデルは、交通システムを大きく変える起爆剤になるでしょう。そして、再生可能エネルギーが交通システムの中心になれば、再生可能エネルギー技術も進歩し、より効率的に電力を生産できるようになります。バイオ燃料が普及の兆しを見せているとはいえ、自動車エネルギーの98%は、依然として石油に頼っているのが現状です。クリーンで再生可能な電力を交通システムの中心とすることでは、エネルギー技術にとっても、交通システムにとっても有益なことなのです。

電気自動車に最適化した次世代交通システムは、夜間電力などの活用されていないエネルギーを生かしながら、石油の消費を抑えて、クリーンな再生可能エネルギーを活用します。米国政府の調査では、余剰電気を有効に活用する“スマート・グリッド”を次世代交通システムで活用すると、発電設備を増設する必要なく、米国内の軽自動車の73%を電気自動車に置き換えられることが明らかになりました。また、電気自動車は再生可能エネルギーの進歩を妨げてきた、発電のピークが自然現象に左右されてしまうという問題を解決します。さらに、電気自動車はガソリン車の3倍以上の効率でエネルギーを利用できるため、エネルギー資源全体の有効利用を促進します。

デンマークの電気自動車への移行プランは、顕著な経済的メリットを示す一例です。デンマークの風力発電設備は、風の吹き方に予測がつかないため、時間によって発電量にばらつきが出ます。風が強く吹くのは夜間であることが多く、この時間帯は電力需要が低いことも問題でした。電気自動車の多くは、夜間に充電を行うようになります。すると、電気自動車そのものが“分散したエネルギー貯蔵システム”という役割を果たすことになります。電気自動車が、浪費されてきたオフピーク時の電力を有効に活用してくれるのです。デンマークのDONG Energy社は、デンマーク内の乗用車総数の2,000万台を電気自動車に置き換えた場合を試算しました。結果、現在デンマークにある風力発電設備の約60%、750棟以下の設備で十分なエネルギーをまかなえることが明らかになっています。